• 2017年10月13日金曜日
ウズマスターの日々
ウズマスターの日々 https://blog.uzumax.org/2017/10/blog-post_90.html

デタラメ天国

神戸製鋼ほどの日本を代表する工業企業でさえデタラメ天国をやらかしおったか。
最近この手の話題が多いね。(´・ω・`)

強度偽装、組織ぐるみで常態化 神戸製鋼「納期の重圧」

記事を読んでみると、「上からの圧力がキツくて不正に手を染めた」という、まあよくある話である。

この手の記事を見ると、今までの僕は、

「ああ、無理な要求をすると後でそれ以上のしっぺ返しを食らうんだなぁ」

という程度に思っていたけど、現在のプロジェクトの状況を経てこのニュースを聞いた時、今まで持っていなかった視点に目覚めた。

この手の問題は以下の2つの条件が揃った時に発生するんだ。


・要求が厳しい。
・チェックが甘い。


そう、真の問題は無理な要求をすることではなく、チェックが甘いこと、管理体制のマズさだ。

まず理解しなければならないのは、

「要求を厳しくするとデタラメするヤツが出てくる」

ということ。
これはどんな場所でも必ず同じである。

しかし、だ。世の中にはこういうパターンがある。

・下への要求は凄く厳しい。
・しかし、下の人間に対するチェックはまるでザル。

これよ。
これをやらかすと一気に組織は崩壊する。

・下への要求が凄く厳しい。
・でも本人もしっかりしていて、インチキしているヤツが居ないかビシビシチェック。

これが出来る人は優秀な人材だよね。
出世する人はこういうタイプが多いと思う。

でも、世の中にはこれを半分だけ齧っている人がいる。

・要求だけは本当に厳しい。
・達成可能か不可能かは関係無く、とにかく要求だけは強弁する。
・しかし本人はまるで何も理解していない。何も分からない。気付かない。

これだ。
この手の人材が入ってくると、下の人間はもうデタラメ天国。

・納期を守れ!! ⇒ デタラメ
・品質を上げろ!! ⇒ デタラメ
・コストを下げろ!! ⇒ デタラメ
・ちゃんとやれ!! ⇒ デタラメ
・ふざけるな!! ⇒ デタラメ
・いい加減にしろ!! ⇒ デタラメ

これが現場の必殺技よ。
再現無くデタラメを繰り返すことで何度でもちゃぶ台をひっくり返すことが出来る。

このプロジェクトは正にコレ。
僕が過去に経験した崩壊プロジェクトも、今にして思えば全部コレだった。


要するに、僕が言いたいことはこれ。


要求を厳しくするのであれば、要求する側は要求を守らせる力量を身につけなければならない。


これこれ。
人に厳しく接するならば、自分に対してその2倍厳しくしないと絶対無理。


道徳的な言い方じゃなくてプロジェクトマネージメント的な言い方をすれば、例えば。


・単金の安い若手を動員したら、ソイツがちゃんと仕事しているかレビューするベテランもセットで投入しなければならない。


こういうことなのよ。
厳しい要求をするのなら監視を強くしなければならない。
そうでなければ絶対失敗する。


要求の厳しさとチェックの厳しさが釣り合っていないと、デタラメ天国が発生する。


当たり前っちゃ当たり前だけど、何だか今日、それが非常に腑に落ちたね。


納期厳守、品質第一、コスト削減など、
競争を勝ち抜くために高い水準を要求したけど、その要求を守らせる為の管理は怠った。
そして知らないうちにメンバーは黙ってデタラメ天国を繰り広げていた。

それが神戸製鋼であり、崩壊プロジェクトの構図なんだな。


いやぁ、エラいことになっちまったな。
このプロジェクトも、神戸製鋼も。

このプロジェクト、僕がデタラメやってても誰も気付かんし。
自分自身でもそれが正しいのかデタラメなのか分からんし。
そして僕のデタラメをデタラメと気付かないまま大勢の人間が動いてこの有様よ。

神戸製鋼も数字がデタラメなのに気付かないで、大半の人間は真面目に働いて出荷、出荷、出荷。
大量に出荷した後になってコレよ。

最大限まで傷口が広がった。

デタラメ天国は恐ろしい。
だって、責任あるトップの指示の結果としてこうなっているわけではなく、
上層部が何も知らん間に、何の責任も負えなければ負うつもりも無い下っ端がデタラメを繰り広げて、
発覚した時にはもう既に手遅れって現象なんだから。


後ろから刺し殺されたようなもんでしょ。


僕だって別に悪気があってこんなことしたわけじゃなくて、いつの間にかこうなってただけだし。
神戸製鋼の社員だって、悪意があって不正してたわけじゃなくて、何となくやっちゃってたってくらいの感覚なんじゃないの?

自分でも知らん。分からん。
僕が分からんのだから回りの連中はもっと分からんだろ。
不正やっているヤツも自分でも何で不正やっているか分かっとらんに決まっとる。

で、損害を被るのは組織であって、神戸製鋼は潰れるかもしれんし、
幹部は責任を取らされて人生設計の下方修正は避けられん。
知らんうちに全てが終わらされた。

一方僕はと言うと、数ヶ月後には何も知らん顔して新しい現場で働いとるに決まっとる。
不正社員もどっかに転職するだけの話やろ。

正しいとか間違っているとかはさておきとして、
現実として社会ってのはこういう風になってんだ。

それを理解出来ないと世の中で生き残ることは出来ん。
勉強になった。

僕もそろそろ年齢を重ねてきているし、
そろそろこういう社会の成り立ちってものに理解を深めていきたいものだ。(´・ω・`)

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